月刊フルーツライフ No.140 |
進み始めた新事業 3
ビオセボン 有機JASフルーツ
ビオセボンでオーガニックフルーツの販売が始まります。
ビオセボン・ジャポンは、フランス発祥のオーガニックストア、日本ではイオン傘下で麻布十番を旗艦店に東京中心に25店を展開しています。
国内でもオーガニック市場は広がりを見せはじめ、ビオセボンにはオーガニック食材が一般のスーパーと変わらない品揃えで並んでいます。
オーガニック性をそのまま
カット個包装する役割
ビオセボンでは柑橘やメロンのオーガニックフルーツを販売しています。
ところが原料フルーツはそのままでは販売が難しく、ビジネス街の店舗ではランチと一緒にすぐに食べることのできる個包装の要望が多くありました。
しかしカットや小分けをすると有機JAS認証が失われてしまいます。
有機JASの法旨は、有機に非有機が混入することから消費者を守ることです。所謂有機偽装を防ぐためカット・小分け業者に有機JAS認証取得を課しています。
FLはこの二年余りに二種類の有機JAS小分認証を取得しました。国内では果物でこうした認証を取得した事業者は数える程しかありません。さらにFLは学校給食で個包装果物を毎月百万食以上生産する実績があります。
こうして相互にオーガニックの広がりを求めるビオセボンとFLの提携が身を結ぶことになりました。
尾鷲甘夏方式/全国への展開に向け
来る5月15日(予定)、尾鷲市学校給食でオーガニック甘夏(有機JAS申請中)の使用が決まりました。
尾鷲市は三重県南西、熊野灘に面した漁業・林業・農業を主な産業とした人口1万5000人余りの市です。地方の例に漏れず人口減少と高齢化が進んでいます。
そうしたなか、意欲ある農業事業者がオーガニック甘夏を生産している一方で安定した販売先が確保できない現実があります。
そこで収穫した有機甘夏をFLが総量買上げ、工場で加工し、尾鷲市に戻して学校給食に使用するスキームが実現しました。
地域特産品を有機生産する農家は年々増えています。こうした意欲ある農家と学校給食を結び全国に展開していく「尾鷲甘夏方式」は、今後有機農家と学校給食を結ぶリーディングケースになると思います。
コンラッド東京採用決定
東京汐留のコンラッド東京でフルーツと私が採用されました。
コンラッド東京はヒルトンHGPのなかでも最高峰の五つ星ホテルです。
レストランからは浜離宮恩寵公園が望め、和とモダンを組み合わせた国内屈指のホテルです。
この最高級ホテルにGW明けからフルーツの納入が始まります。
昨秋から全国に展開を始めた新事業フルーツと私は、コロナ明けの観光需要の急激な回復と相まった人手不足と食品高騰のなか一気に全国に広がっています。
北海道では大槻食材(株)と連携し、ANAクラウンH札幌・千歳、京王プラザH札幌、エスコンフィールド等の納入が始まり、九州では長崎ハウステンボス5ホテルの納入が始まりました。今後は、東京・京都・大阪・博多のシティホテルへの展開を目指しています。
フルーツと私はオンデマンドフルーツを提供するため、対象ホテルの朝食ビュッフェは3,500円以上の価格帯が前提となります。高価格帯を対象とすることで、フルーツと私を価格競争に巻き込まれない事業としてブランディングしていこうと思っています。
企業におけるパーパス経営
大学におけるリベラルアーツ
日本という国家が衰退の一途を辿っています。それを見透かしたように円安が止まりません。どうして日本は衰退しGAFAのような新たなイノベーションが生まれなかったのか?
そうした問いに、企業や大学では、目先の利益や数字に捉われない、直ぐには数字に表れない理念や幅広い教養の必要性を問い始めています。それがパーパスとリベラルアーツです。
FLが共販メーカーとして参加するJFSA(日本外食流通サービス協会)は、4月26日の定時総会でこれまで基本理念の三番目にあった
全国同一精神で同一政策を遂行する
をトップに掲げる変更を行いました。これはJFSAのパーパスの表明であると思います。
日本の経営者は目先の利益と数字だけに捉われ、直ぐには金にはならない哲学的な問いかけを無駄なこととして捨象してきました。
何のために働くのか?
何のために生きているのか?
恰も青春時代に思い悩んだような問いかけこそが、全く新しいGAFAのような企業を生みだしていく源泉になることにようやく気づき始めたのかも知れません。
FLは設立以来環境と人権を商品化してきました。
それは環境問題としての有機果物であり、フードロス削減のための賞味期限延長であり、プラスチック不使用のパッケージ開発であり、温室効果ガス削減のためのヴィーガンデザートの開発でした。
人権問題として、誰もが安心して食べることのできるアレルギー対応デザートの開発、フェアトレード原料の使用、障がい者・貧困者支援に企業として取り組み続けてきたことでした。
理想を掲げることのできない企業は衰退していきます。目先の利益と数字だけを追い求め、社員を賃金で繋ぎ止めているだけでは新たな革新を生みだすことはできません。
今経営におけるパーパスと大学におけるリベラルアーツの表明は、生きる意味、仕事をする意味を問う有意な人材を引き寄せる源となり、企業の一体感を生み、自由な空気を醸成することで新たなイノベーションを創りだしていく力になると確信しています。
池田商店商品部の工場訪問
4月中旬、四国の池田商店・商品部の3名がFL工場を訪問、勉強会を開催しました。
四国は柑橘果物の産地、有機農家と連携し地産地消の新たな事業を共に進めていきます。