月刊フルーツライフ No.144 |
変わる世界
未来を提示すべき責任
自然災害が止まりません。世界中どこでも大規模な自然災害が多発しています。
森林火災をとってみると、高緯度地域の森林火災はより大規模になり、夏の間中火は消えることなく燃え続けています。
米の世界資源研究所によると一年間に失われる森林面積は930万㌶、これは北海道とほぼ同じ面積の森林が毎年消失していることになります。
シベリアを含む北極域の森林帯は地球の陸域の4割の炭素を蓄えています。消失とともに数千年単位で蓄えられたCO2は環境に放出され、温暖化は加速度的に進むことになります。
今地球環境はティッピングポイント(気候システムの不可逆的大規模変化)の瀬戸際にあります。かなり近いうちに南極の棚氷が崩壊し、南極とグリーンランドの氷床が融解します。私たちの地球は、既に気候変動を人間の力で抑えることができる限界を超えつつあります。
インターナショナル・コモディティーの供給不能
気候変動は世界的な農産物供給を不安定にし、国際価格の高騰を招いています。とりわけオレンジとカカオの2品目は、供給不足→価格高騰と、収まる気配はありません。
去る7月にカリフォルニアを訪問し、実際にこの目で見きた光景は衝撃的でした。
ロサンジェルスからから100㌔余りのリバーサイド郡は米国内でも有数のオレンジの産地です。
地平線の見える丘陵一面に植えられたオレンジが、柑橘グリーニング病に感染し葉が黄色く変色していました。米国のもう一つの一大産地フロリダでも同じ病害が発生していました。
更に農地の宅地化が進んでいました。ロスからフリーウェイで一時間余りのリバーサイド郡は、不安定な農業に嫌気がさした農家がデベロッパーに土地を売り渡し、オレンジ畑そのものが大幅に減少していました。
米国産オレンジの不作で世界のバイヤーはブラジルに向かいました。しかしブラジルでも柑橘グリーニング病が発生し、加えて気候不順から生産量は激減し、世界は一気にオレンジ供給不能に陥ってしまいました。現在のオレンジ生産量はコロナ前の7%以下になっています。
農産物生産は気候に大きく左右されます。更にインターナショナル・コモディティーであるオレンジは投資対象とされ、収穫前の先物から市場取引され、不安定さが逆に相場感を生みより大きな利益を手にしようとする投資対象となっています。
オレンジ、カカオ、オリーブオイル等、農産物の価格高騰、そこに円安が追い打ちをかけ、一企業として対応できることは限られています。
そんな中FLは新事業フルーツと私に欠かせないオレンジをカリフォルニアから直輸入することで大幅な値下げを可能にしました。
人口減、労働力不足
同じように一企業では対応に限界があるものが人手不足です。
フルーツと私は、ホテル・病院厨房の人手不足に対応した新事業であり、昨年秋から全国に営業を始めるや北海道から九州までアッパーなホテルの採用が相次ぎました。
西武・プリンスホテルズワールドワイド採用
全国で92施設を展開する西武・プリンスホテルズワールドワイドの採用が決定しました。
その中でフルーツと私は、東京プリンスH・品川プリンスH・箱根芦ノ湖・川奈H等上級ホテルと、催事への提供が予定されています。
今回の契約は、来年9月東京で開催される世界陸上に向けた準備の一環であり、欧米人向けにヴィーガンシートケーキの採用も決まりました。
近鉄都ホテルズに続く鉄道系ホテルグループの採用はフルーツと私事業の大きな前進です。
脱プラスチックの行方
現在のフードサプライチェーン喫緊の課題はプラスチック規制です。
EU理事会は食品包装の新規制を2030年にも始めます。全ての食品に使用する包装はリサイクル可能な素材を義務付けられ、日本のメーカーが多用する多層フィルムは使用できなくなります。
また一昨年UNEP(国連環境計画)はプラスチック規制条約策定を決議し、国連総会は2025年までに条約をスタートさせることを決議しました。
条約には法的拘束力が伴い、フードサプライチェーンは生産から廃棄までのプラスチック使用が問われることになります。しかし国内では包装容器のプラ代替品が全く揃っていないのが現実です。
どうして食品のプラ使用が批判の的になっているのでしょう?それは下の標語が言い尽くしています。
つまりほんの数分しか手にしないプラ容器は、地球上に1000年も無くならない…
フードサプライチェーンは自らの利益と引き換えにプラ包装を大量に使用し、地球を汚染し、プラ規制条約策定まで追い込んでしまいました。
私たち食品に関る企業は、プラ包装容器に代わるものを一日も早く提示する義務があり、それが企業として未来に責任を持つ姿です。
オーガニックフルーツ①
尾鷲有機甘夏全国に提案
去る5月三重県尾鷲市学校給食で使用した有機甘夏が全国の学校給食に提供可能になりました。
来年3~6月の期間に、有機JAS認証甘夏を約100㌧出荷できることになりました。
カット個包装は有機JAS小分認定工場のFLが行い、有機性を維持したまま全国の学校に届けることができます。
オーガニックフルーツ②
ビオセボンでカットフルーツ販売
麻布十番店を旗艦店にオーガニック食材を関東で展開するビオセボン(イオン系)でオーガニックカットフルーツを販売します。
関西中心に店舗展開するビオラル(ライフ系)に続き、国内の有機食品小売をリードする二つのショップで販売することは、FLのオーガニックプレゼンスの大きな一歩となります。
全国各社の展示会に出展
JFSA会員をはじめ全国各社の展示会に出展しています。FLは営業が社外に出るスタイルをとっていないこともあり、展示会は各社営業担当者と会う良い機会です。
・3月協食周南展示会
・6月サトー商会盛岡営業所展示会
・8月協食下関展示会
・8月中村角展示会
・8月泉平フードフェア