月刊フルーツライフ No.135 |
2023年の軌跡、そして2024年の展望
一年は風のように過ぎ、私たちを取り巻く世界は大きく変わりました。
あたかも中世ヨーロッパを暗黒の世界に変えたペストのように、私たちは嵐のようなコロナパンデミックに見舞われました。
コロナパンデミックから生き延びたと思った矢先、ウクライナとパレスチナで戦争が勃発しました。
グローバルのはずだった世界は分断され、死と暴虐が否応なく私たちの眼前に現れました。
そして今、気候変動に直面しています。地球温暖化は地球環境を破滅的に変え、私たちはそのカオスの中で生きていかなければなりません。
厳しかった円安→原料高
コロナ、戦争、気候変動、混沌とした世界の中で以前は安全資産と言われた円が急激に安くなりました。しかも円独歩安の様相となり、これは日本のファンダメンタルの弱さが世界から見透かされた結果でした。
輸出産業の思わぬ利益とは裏腹に、エネルギー・食料のほとんどを輸入に頼る日本の国内産業は、間断ない値上げの中で価格転嫁ができない状況です。FLも例外ではなく原材料・資材・運賃の値上がりが確実に利益を圧迫しています。
こうした厳しい状況の中でFLは未来への道筋を提示しました。
オーガニックフルーツ
地球環境の悪化は農地を劇的に喪失させています。
国連の発表によると過去45年間で耕作地の40%が消失し、毎年1000万haの耕作地が失われています。
これは大量の化学肥料と農薬そして過度な灌漑の結果です。そのためFAO(国連食糧農業機関)は有機農業を推進しています。
FLは世界中から有機果物を探し、スリランカを本社とするTarget Agricuitureと日本での専売契約を締結しました。
バンコクミーティング
5月、TA/タイの責任者とバンコク市内のホテルでミーティングしました。
有機JASライセンスの確認、品質、リードタイム、支払条件…詳細を話し合った上、ベトナム・ホーチミン市に滞在していたTA/Dr.トーマスCEOと会談することが決まりました。
二日後、急遽ベトナムへ。
ホーチミン市のマジェスティックサイゴンで、トーマスCEOと会談に臨みました。
トーマスCEOが、ドイツからスリランカ に渡って有機メーカーを立ち上げた話など様々な話題の末、日本国内のオーガニックフルーツ拡大を支援するためFLとの専売契約合意に至りました。
有機JAS二つの認証取得
有機原料を加工するためには有機JASの認証が必要です。
FLは昨年から準備を進め二つの有機認証を持つ認定工場となりました。
背中を押した「みどりの食料システム法」
昨年7月「みどりの食料システム法」が施行されました。
生産から消費まで食品のGHG削減を目指し、世界から遅れる国内フードサプライチェーン全体の環境対応を促す目的で施行された法律です。
法律成立が学校を始め有機農産物使用の後押しをすることになりました。
「フルーツと私」新たな成長の柱に
商品に人手不足対策を取り入れた新 事業「フルーツと私」が新たな成長の柱としての萌芽を見せ始めました。
今後更に深刻になる人手不足に対応する提案を対象事業別に行なっていこうと思います。
① 基幹病院
② ホテル・観光
③ 総合給食企業
学校給食割合低減の先に見る食品の主戦場
新事業の成長に伴い事業全体の50%を占めてきた学校給食事業の比率を、今後35%程に下げていきます。
これまでFLは、価格競争の厳しい外食、所謂食品主戦場には薄利さ故に参入してきませんでした。
ところがコロナ後の世界は、サービスが提供できるかが優先順位の一番となりました。価格よりも人手不足からサービスが提供できないことが問われるようになってきたのです。
①基幹病院
これまで通りの提案を更に進め、全国での占有率を高め、メディカルフルーツスタンダードの地位を確固たるものとしていきます。
②ホテル・観光
「フルーツと私」事業を拡大し、大手ホテルには旬のフルーツとヴィーガンケーキの提案をしていきます。
③総合給食
価格競争が激しい総合給食企業では人手不足が深刻な上、食材高騰に直面しています。果物価格が上がり使用できず果物缶詰へ変更する献立が多くなってきています。
FLは11月上海・寧波を訪れ、白桃・みかん缶の商談を行なってきました。学校給食では忌避される中国産ですが、メーカーのレベルは高く、しかも中国産フルーツは既に国産に比べて安くはないのが現状です。
FLはこれまで培った海外とのパイプを活かし、総合給食企業にチルドフルーツとともに果物缶詰の提案を行なっていきます。。
山形/MFLの稼働
7月山形県寒河江市の丸松フルーツライフ/MFLが本格稼働しました。
東北地方向け製品の生産力アップと共に、りんご等国産果物の原料調達力が格段に強くなると思います。
理想のない企業からは何も生まれない
温暖化と生物多様性の喪失は、今後食糧生産を一層厳しくしていきます。FLはメーカーとして「環境と人権」を製品に具現化します。私たちは理想のない企業からは何も生まれないと信じているからです。