月刊フルーツライフ NO.127 |
弥生 卯月 色んなことが始まった
コロナとの共生が始まり日常が少しづつ戻ってきました。
三月はFL工場にも来客が増え、出張の機会も増えてきました。FOODEXを始め展示会も開催されるようになりました。
有機JAS認定工場に
そして一年間全社を挙げて取り組んできた有機JAS認証書が工場に届きました。
これでFLは有機果物を工場内で保管・加工・格付・包装し、有機JASマークを貼付して出荷することが可能 となりました。国内に多くの有機JAS認定工場がありますが、米やお茶の工場が多く、果物に特化した有機JAS認定工場はほんの僅かしかありません。
進む学校給食の有機作物の使用
有機農業は世界的潮流とはいえ国内では一部しか流通していません。
文科省は'23年度「みどりの食料システム法」成立に伴い「学校給食における有機農産物の活用を一層促進する」として予算化しました。
みどりの食料システム法
2022年5月に成立したみどりの食料システム法は法律の目的をこう規定しています。
この法律は、フードサプライチェーン全体が気候変動と生物多様性喪失の圧力に如何に直面しているかを物語っています。
2021年9月、国連食料システムサミットが開催されました。サミットでは、EUと米国から農林水産業の持続可能性目標が示されました。
さらにEUが発表した "Farm to Fork 戦略” には2030年までに化学農薬の使用半減、有機農業を全農地面積の25%に拡大する数値目標が設定されました。
一方世界の中でも化学農薬の使用が飛び抜けて多い日本には何らかの目標、しかも強制力のある目標を示すことが求められました。
こうした国際的圧力の中、日本政府は2021年12月、英グラスゴーで開催されたCOP26(気候変動枠組条約締約国会議)の場でようやく示した法律がみどりの食料システム法でした。
みどりの食料システム戦略
みどりの食料システム法が成立したことで、生産・加工・流通・消費までの全体が社会の最も重要な環境インフラシステムと捉えられました。
生産者だけでなく食品事業者と消費者が対象とされたことで、それぞれの活動で環境負荷低減への対応が迫られることになりました。
Fサプライチェーンに求められるトータル戦略
今後日本国内の食品事業者にはトータルなフードサプライチェーン戦略が求められることになります。
既にEU・米国では化学農薬の半減と有機農業の拡大目標が数値化されています。
FLが始めようといしているオーガニックフルーツシステムは、正にみどりの食料システム法を先取りしたものであり、国連食料システムサミットの目標を具現化するものです。
先ず学校給食にオーガニックフルーツ
四月からFLは学校給食にオーガニックフルーツの提案を始めます。
学校給食で最も適した有機食材は米飯と果物です。製造上数多くの原材料を必要とする加工食品と違い、お米と果物は単品で100%オーガニックが保証されるからです。
しかしその一方で、有機農業の進んでいない日本では、貯蔵のできない果物を一度に大量に提供することは難しくなります。例えば名古屋市のような政令市では一度に12万人の子供たちに有機果物を提供することになり、原料供給そのものが困難です。
USDAオーガニック輸入果物から
世界で最も信頼されている有機認証は米農務省のUSDAオーガニックです。農水省はUSDAオーガニック認証があればそのまま有機JAS認証と することが可能としています。つまり米国認証が世界基準となっているためです。
FLでは国内で供給できない有機果物を確保可能なUSDAと、米国同等国とされるNZから輸入を始めます。
夏迄に有機JAS輸入業者認証を取得し輸入から製造・販売まで自社で完結することを目指しています。
MFLからサトー商会/フードシステムの創造
FLは丸松青果と共同で山形県寒河江市に新工場を建設しています。
MFL新工場では果物加工を開始すると同時に、全国でも有数な果物生産地山形で有機果物生産に挑戦します。
それはみどりの食料システム法が目的とする環境と適合した生産・加工・流通・消費をトータルに結ぶシステムの創造です。そして流通の役割を担う企業は、東北地方で揺るぎない地位を確立する大手食品総合商社サトー商会です。
今秋にも、山形県・寒河江市、有機農業事業者、MFL、サトー商会の4事業者で実現に向けたワークショップを始めたいと思います。
私たちが創造するものは有機農業から消費までをトータルにマネジメントする環境に適合した新たなフードシステムです。そしてこのシステムこそが未来に残すことができる持続可能なフードサプライチェーンの姿です。
去る3月、持続可能なフードシステムを共に創造するためサトー商会/佐藤副社長、中山外食部長を始めとする精鋭の皆さんがFLを訪問しました。
世界から遅れをとっている日本のフードサプライチェーンの未来を、時に白熱した議論を交えてじっくり話し合うことができました。
京都市立西京高校/課外活動でFL訪問
去る3月7日、京都の西京高校の皆さんが会社を訪問してくれました。
西京高校では北海道から沖縄までそれぞれのグループが、未来の日本を創る企業を訪問し、企業のリーダーから話を聞き学ぶ課外活動を行っています。FLでは食と環境を学びたいと訪問、開発・製造・消費者の手に届くまでの工程を話しました。その後FL代表が環境倫理の講義をしました。
FL訪問前の企業がトヨタとセントレアでは落差が大きすぎますが、高校生の皆さんと楽しい時間を一緒に過ごすことができました。
FOODEX'23
3年ぶりのFOODEX、海外 ブースを中心にオーガニックフルーツの実りある商談ができました。