2022年 06月 05日
月刊FruitsLife No.117(通算145) |
単にモノを造るのではなく、
サービスを提供するためのモノを造る
日本は主要先進国の中で唯一経済成長が滞り、脱炭素など環境対策で大きく遅れをとる国となっています。
コロナ禍・ウクライナ戦争で急激な円安が進んでいることも、国力の低下が如実に現れる結果となっています。
環境対策とデジタル化、2000年以降世界の産業、中でも主要先進国では経済の中心が、モノから情報とサービスに大きく変わっていきました。こうした非物質化の流れにパラダイムシフトできなかったことが日本経済の落日を招いていると思います。
果たしてメーカーは何を造るのか?
メーカーは何をすれば良いのでしょう?そもそもモノを造ることがメーカーの仕事であり、モノ造りは非物質化とは相容れない概念です。
FLでは現在二つの営業目標に向かって活動しています。
一つは、昨年から進めている小規模老健を対象とした新事業です。
去る5月末、介護大手ツクイGP本社で、全国のデイサービス施設を統括する担当者と商談を行いました。
ツクイは全国500ヶ所にデイサービス事業所を展開し、老人介護事業の中でもデイサービスを経営の柱とする企業です。
デイサービスは高齢者の体調を管理しながら、体操・お遊戯・食事・お昼寝・おやつ…そうした一日をサービスとして提供しています。
因みにデイサービスで提供される食事代は利用者負担であり、高齢者にとって一番楽しみな一つが昼食です。
一方で施設でのフルーツの提供は、人手不足・魚肉との交叉汚染・果物の歩留まり等で提供がままならないのが現状です。
2042年高齢者人口がピークを迎えます。逆に言えば後二十年間介護事業は拡大を続け、その一方で人口減少は介護業界に深刻な人手不足を招くことが予測されています。
FLの老健新事業は、これまで培ってきた病院事業の成果であり、その成功の延長線上にあります。
ビジネスとなったD+7
FLではフードロスゼロを目指して賞味期限延長に取り組んできました。
ガス置換設備の導入や徹底した衛生管理の下、これまでD+4であったフルーツの賞味期限をD+7にまで延長することができました。
全国で事業を展開する老健施設では賞味期限が大きな課題となります。何 故ならメーカーから物流拠点到着に1日、遠方では2日、物流拠点から施設到着に1日、到着時間によっては配膳まで更に1日、この時点で3日乃至4日を要し、喫食以前に賞味期限が切れてしまいます。D+7となったことでフルーツ使用の選択肢が大きく拡がることになりました。
サービスに提供するモノ造り
FLは病院・老健のモノ造りをサービスのためのもの、製造する規格は提供するサービスに合ったものとして企画・設計・製造しています。そのため製造のノウハウはすべてサービスに繋がることになり、結果として高い競争力を持つことになります。
モノ造りに環境意識を加える
もう一つのFL営業目標は、イオ ンリテールが首都圏で展開するまいばすけっとです。
まいばすけっとは東京23区と神奈川県内に展開する都市型小型スーパーです。
少子高齢化に対応した都市型スーパーとして、消費者に近く、生鮮食品の品揃えが豊富で、少量販売可能な、SMとCVSの良いとこ取りをした位置付けとして、わずか10年で千店舗、売上高2千億円を達成しました。
今年4月から全国のイオンで販売し始めたヴィーガン抹茶ケーキの販売が好調です。
イオンリテールから、現在大型店舗のみで販売しているヴィーガン抹茶ケーキを小規模店舗でも販売したいと依頼されています。これはアレルギー対応だけではなく動物性原料を使用しないヴィーガン食品の今後の需要の高まりを証明しています。
FLはアレルギー対応デザートの先に動物性原料不使用で環境負担の少ないヴィーガンデザートをまいばすけっとで販売していこうと思っています。
サステナブルビジネスは果たして可能なのか
去る6月3日、厚労省は2021年の人口動態統計を発表しました。子どもの出生数は81万人余り、統計を取り始めて最少の記録です。人口の自然減を大幅に下回る出生数は、例えれば毎年鳥取県が消失していく程の衝撃的な数字です。
国立社会保障・人口問題研究所は2030年東北地方では0~4歳の子どもが現在より約20%減少すると予測しています。更に10年後の2040年には大都市圏を除く35道府県でも0~4歳の子どもの数が20%以上減少すると予測しています。 急激な人口減少が現実となってきた日本で果たして持続可能なビジネスはあり得るのでしょうか?
子どもが生まれなくなれば、地 域から保育施設も学校も、産科や小児科の医療機関もなくなり、やがてスーパー、銀行、あらゆるサービスが消えていきます。
一方で高齢者人口は今後20年間増え続け、人手不足によりサービスが滞るようになってきます。サービスがなくなれば住める地域への移動が始まり、地方は行政サービスですら限界となってきます。こうしたデストピア的地域が全国に拡がり、一企業の持続可能な成長以前に国家レベルの政策の失敗が国民の前に降りかかってきます。
ジェンダー平等と働き手の確保
今月2日、国連は各国のSDGs達成報告書を発表しました。日本は5番目「ジェンダー平等」と12番目「つくる責任、つかう責任」において最低評価を受けました。
FLのアジェンダ
ジェンダー平等を進め賃金を上げることは一企業で可能なサステナブルな成長です。そのことが質の良い労働力の確保に繋がり企業の一体感を創り出します。
新事業への挑戦は縮小する経済の中でも成長の機会を掴み、新たな需要を生み出します。
生産性を上げるとともに、製造現場の女性の過重労働軽減のため設備投資を実行し工場内の機械化を進めます。
FLは企業として環境と人権、自由で平等な社会を目指す事で成長に繋げていきます。
by FruitsLife
| 2022-06-05 16:11
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