月刊フルーツライフNo.108(通算136号) |
月刊フルーツライフ No.108(通算136号)
◆食品メーカーの責任 SDGs12番目のゴール
国連が採択したSDGs12番目のゴールはつくる責任・つかう責任です。
その中のターゲット3では「2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食品廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食料の損失を減少させる」としています。
◇食品ロスとは何なのか?
FAO(国連食糧農業機関)はフードサプライチェーンの過程を前半と後半の二つに分けて定義しています。
・フードロス/Food Loss
生産者から流通までの間に廃棄される食品のことで、冷凍・冷蔵システムのインフラが完備されていない途上国に多い事象。
・フードウェイスト/Food Waste
食品メーカーや外食産業、小売、家庭の消費者が廃棄する食品のことで、先進国に多い事象。
◇一年にどれだけの食品が捨てられているのか?
世界の食品廃棄量は年間およそ13億トン、これは生産された食品の1/3が廃棄されたことになります。
一方日本で捨てられる食品は年間612万トン、東京都民が一年間で食べる量とほぼ同じ量です。
因みにWFP(世界食糧計画)の年間食料支援量は420万トン。つまり日本では毎年、WFPが行う食料支援の1.5倍の食品を捨てていることになります。
さらに日本の食料自給率は38%で、6割以上の食品が輸入されており、そのフードマイレージはEU・アメリカの平均の3倍程になっています。
食品会社はそれぞれの製品に消費期限を設けています。
消費期限は安全に喫食できる期限であり、メーカーは食品にその期限日を定めます。食品メーカーの定める期限日は0.8の安全係数を乗じて決めています。
つまり菌的安全が10日間担保された食品の消費期限は安全マージンを見て8日と決定しています。
フードバンクの活動が世界で広がっています。アメリカでは1967年から始まりセカンドハーベスト等のNPOが設立されました。
FLでも愛知県一宮市ののわみ相談所に消費期限等の迫った食品を寄付しています。
しかし日本では一日でも消費期限を過ぎたものは廃棄にされ、その潔癖性が食品ロスを増やす原因となっています。
「食中毒などの事故が起きたら誰が責任をとるのか?」という議論があります。
アメリカでは貧困者等への食糧支援が善意で行われた場合の免責措置制度が整えられています。
◇学校給食の安全神話
FLは学校給食メーカーです。学校給食では保存食である缶詰であっても6ヶ月の賞味期限が求められることがあります。また缶詰のほんの一部に凹みがあるだけでクレームとなり返品される場合があります。
食品製造には多くのCO2が排出され、廃棄にもCO2が排出されます。環境問題に最も取り組むべき教育現場でこうした意味のない安全神話が生きていることが問題であると思います。
◇世界のフードシステム
食品の生産から加工、サプライチェーンの総体を指してフードシステムといいます。
世界のフードシステムの市場規模は10兆ドル。一方フードシステムが引き起こす環境へのマイナスの影響は12兆ドルといわれています。
FOLU(食料土地利用連盟)は、このままフードシステムに対策を取らずに続けると2050年までにマイナスは16兆ドルまで膨れ上がると警告しています。
持続可能な食料システムへの転換は不可欠であり、その転換実現のため、国連は9月にフードシステムサミットを開催します。
◇環境負担の大きい食肉
たんぱく質といえば肉が頭に浮かびます。しかし食肉、特に牛肉の環境負担は驚異的な大きさです。
例えば1kgの牛肉を製造するには12kgの飼料が必要です。途上国で飢餓が深刻になっている現状で、食肉の飼料に使用する小麦やトウモロコシを食用に回せば食糧事情は大きく改善されます。
FAOの統計では人間が食べるために世界で、豚13億頭、牛3億頭、鶏700億羽が食肉として処理されています。
アマゾンの熱帯雨林が切り開かれ、肉牛が放牧されマクドナルドのハンバーガーになると度々耳にするのはこういうことです。
◇代替たんぱく質
植物由来の原料を使い肉風味に加工する技術が進んでいます。
環境問題を考えると今後たんぱく質は食肉から摂取するのではなく植物性に変わっていかざるをえません。
私たち食品メーカーにはあらゆる意味で環境対応が求められる時代となりました。
FLは全ての事業に環境へのプライオリティを高め、持続可能な社会の実現にリーダーシップを発揮していく覚悟です。
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フルーツライフ株式会社
center@fruitslife.com
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