月刊 フルーツライフNo.107(通算135) |
月刊フルーツライフNo.107(通算135号)
◆気候変動にコロナが追い打ち、黄桃が劇的な不作
初夏は北半球で桃が収穫され缶詰となる季節です。
ところがヨーロッパ・中国・日本と世界中の桃産地で、花のつく頃に凍霜が発生し、雌しべが枯死して実がつかない被害が拡がりました。
さらにコロナ禍が拡大し、ヨーロッパでは移民労働者の入国制限、生産工場でクラスターが発生して工場閉鎖、コンテナ不足による輸出入の停滞と、かつてなかったような事が一度にやってきています。
学校給食の定番である黄桃も当然ながら例外ではなく原料生産が半分以下に陥っています。
◇ギリシア産黄桃
FLの黄桃原料はギリシアで生産しています。
ギリシアでも凍霜被害が発生し、例年の5〜6割の収穫減となっています。
さらにコロナ禍の影響で思うような生産もできず、黄桃缶の生産は前年比の6割減になるだろうと連絡がありました。
黄桃の極度の品薄によりギリシアの工場には、ヨーロッパと北米からバイヤーが乗り込み、黄桃缶の奪い合いの状況になっているそうです。
当然価格は上昇し、特にワクチン接種で急激に需要の回復しているアメリカのバイヤーが、金に糸目をつけない価格で黄桃をコンテナごと買い漁っていると報告がありました。
ギリシアメーカーから今年の価格は暫定で40%アップとFLに示されています。しかしメーカーからは、価格の高騰も去ることながら黄桃をFLに手当てできることを感謝してほしいと言われています。
◇南アフリカ産黄桃
世界でもコロナ感染が最も激しい南アフリカでは凍霜被害はなかったものの、収穫・製造が困難に直面しておりサンプルも出てこない状況です。
ヨハネスブルクではコロナ拡大から暴動が発生し治安は最悪の状態が続いています。頼みのワクチンの接種は全く進んでいません。
これには南アの国としてのワクチン確保とは別の理由があります。アパルトヘイト時白人政権が、黒人の人口を減らすため女性に不妊ワクチンを打つ政策を取ろうとした歴史があります。そのためほとんどの黒人が政府によるワクチン接種を不安に思い拒否しています。
◇世界物流の停滞と海上運賃の高騰
アメリカと中国でワクチン接種が進み、米中で急激に景気が回復しています。
海上物流は世界貿易の殆どを担っており、急激な需要の増大からコンテナ船とコンテナが世界中で不足しています。
今年になってFLでも輸入にあたり船を確保できるかどうかが最初の問題となっています。
また需給の原則から海上運賃が6〜8割高騰しています。これまで海上運賃は製品に響かないほどの経費として考えていましたが、これだけ高騰すると製品価格に乗せざるを得なくなってきています。
◇パイナップル
タイにおいても気候変動とコロナ禍の影響は深刻です。
これまで感染が抑えられてきた東南アジアで、デルタ株が猛威を振るっています。
タイでも感染が急激に拡がり、FLのパイナップル缶製造工場でもクラスターが発生し閉鎖に追い込まれています。
タイのAGがバンコクでは政府が直ちにコロナ病棟を建設し、感染者の検査隔離を徹底してこれ以上の拡大を防いでいると言っていました。
また東南アジアでは歴史的な干ばつが続いており、秋のパイナップルのクロップにどれだけ影響が及ぶのか心配しています。
FLの重要なもう一つのパイナップル産地コスタリカでも状況は芳しくありません。干ばつは世界中に起きている温暖化の証です。
気候変動にコロナ禍が追い打ちをかけ、果物をはじめ農作物の生産は一層不安定になっています。
途上国では深刻な食糧不足に直面し、10億人余りの人々が飢餓に苦しんでいるのが現実です。
◇FL来シーズンの見通し
FLは原料確保の困難な中でも来シーズンに向け着実に海外事業を進めています。
FLは商社を介すことなく現地メーカーと直接取引をしており、相互に顔の見える強い信頼関係を築いてきました。
外国とはいえ、結局は人と人との関係です。FLは独自の貿易ルートを築き、その中で相互の信頼を培ってきました。
FLは来シーズン多少の値上げの可能性はあるものの商品の欠品は絶対に起こさない決意で海外事業に取り組んでいます。
人類は地球温暖化と新型コロナの猛威に晒されています。人類がこの先も地球で暮らしていくためには環境との共生が必要です。FLは今後環境問題と正面から取り組んでいく決意です。
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フルーツライフ株式会社
center@fruitslife.com
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