月刊フルーツライフ No.94(通算122号) |
◆学校再開!恐る恐る始まる日常
6月から全国の学校が始まりました。2月末から三か月間に及んだ休みがやっと終わり少しずつ日常が戻りはじめてきました。
■全国から爆発的受注
学校が始まると同時に全国から一斉にフルーツの受注が入り始めました。いよいよ学校給食の再開です。
コロナ禍の真っただ中での給食再開とあってどこの学校も手探り状態でした。ただ一つ確かなことは子どもたちが待ちわびていた給食を安全に提供したいということでした。
■配膳・調理に人手が加わらない
コロナの感染が懸念される中、食事の時間は一番注意の要する時間です。
対面しない、話をしない…色々な制約の中で配膳調理に人手が加わらないことが安全と推奨されるようになりました。そうした中で個包装されたフルーツの需要が一気に高まりました。
その需要を受け6月の製造数はFL設立以来、初めて200万食を突破ました。
学校としては、第一に個包装された食品は調理配膳する食材より安全であるということ、次に三か月も休まざるを得なかった子どもたちに美味しい給食を食べさせてあげたいということ、最後に三か月間の給食予算があるという三つの要因があったと思われます。
■先が見えない三か月、休校期間中の対応
学校が休みの三か月間、FLの学校給食の売上は全くありませんでした。
しかしコロナ禍もいつかは終息することを見越してFL工場は通常の生産を続けました。この三か月間製造した冷凍フルーツの在庫が6月の爆発的受注に対応できた理由です。
■勇気と決断、万全の資金調達
売上が激減する中、製造を続けるには経営判断に勇気と決断が要求されます。
その上で製造するためには、先に原料の仕入れが必要となり、さらに製造にかかわる人件費は当月払いです。三か月間売上がない中での製造にはまず資金が必要です。
また輸入に関してもパイン原料の契約量をコロナ禍であっても減らすことはしませんでした。その理由は海外でやっと培ってきたFLの信用を毀損したくなかったからです。
こうしてコロナ禍の三か月間はFLには資金的に厳しい期間となりました。
一方FLでは昨年より政府系金融機関と地元金融機関との間でキャッシュフローの改善に取り組んできました。幸いFLの企業姿勢が評価されキャッシュフローの改善が着実に進んでいました。そうした中で突然のコロナ禍に見舞われたわけです。
■懸念のタイ・コスタリカ貿易
中国から感染が拡がった新型コロナウィルスは瞬く間に世界中にパンデミックを及ぼしました。
FLのパイン原料調達先のタイとコスタリカも例外ではありませんでした。
タイでは非常事態が宣言され、多くの経済活動が停止されました。FLの協力工場でも操業時間の短縮を余儀なくされ、ローカルな移動も禁じられました。
昨年より収穫状況の極めて悪かったパイナップルがコロナ禍でさらに厳しい状況となりました。
またタイの輸出港における手続きの遅滞がETAにかなりの遅れを生じさせる原因となりました。
メキシコの南にあるコスタリカも例外ではなく、コロナの感染が拡大しています。中米は南米ほどには危機的な状況ではありませんが予断は許されないのが現状です。
■FL冷凍フルーツの生産状況
FLでは例年、前年実績の原料を確保して冷凍シーズンに臨んでいます。ただし今年は6月だけで二か月分以上の発注がありました。さらに夏休みが短縮され、夏季の学校給食、中でも冷凍フルーツは相当数の増加が予想されます。
コロナ禍で生産予測を立てるのは困難とはいえ、FLでは全アイテム昨年比約2〜5割増で準備し万全の体制を整えています。
その中で懸念になっているアイテムがパインスライスです。パインスライスは学校給食の定番中の定番、価格も安い最大のアイテムで、6月は通常の三か月分余の爆発的な発注がありました。
パインスライスの原料産地はタイです。パイナップルの不作に加え、コロナ禍での現地の操業自粛、輸出業務の停滞で今月入港の2コンテナもETAが二週間ほど遅れています。
そのためNBパインスライス製品は、7月中旬から7月末までの間リードタイムを十日ほど長く取らせて頂いています。
■リスクヘッジの重要性
FLが今春の困難を乗り越えることができた大きな要因は複数の事業を柱として築いてきたことです。
四年前に学校給食の売上占有率が八割近くに及んだ時点で、メディカル事業とデザート事業を立ち上げ育ててきたことが、今回のコロナ禍のような誰も予想しえなかった危機に対応できたのだと思います。
新型コロナの感染は止まっていません。南米やアフリカでは今も拡大し続けています。今秋には第二波の襲来があると言われ、日本国内では未だにPCR検査体制も整っていません。
20世紀初頭全世界を襲ったスペイン風邪では、強力な第二波が多くの人命を奪ったと歴史が証明しています。
FLは第二波が襲来する最悪の事態も予想しながら事業展開を進めていきたいと思っています。
それがメーカーとしての責任であり、雇用を守る企業の責任だと思います。コロナとの本当の闘いはこれからなのかも知れません。
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フルーツライフ株式会社
center@fruitslife.com
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