月刊フルーツライフ No.90 |
月刊フルーツライフ No.90(通算118号)
◆全国学校休校 新型コロナウイルス
見通せない2020年
去る2月28日政府は全国一斉に学校の休校を要請しました。突然の政府の要請に学校現場は大混乱でした。
■今期の年度末需要
この数年学校給食の年度末需要は殆どありませんでした。それが今年は一変、全国からフルーツとデザートのオーダーが多数入り工場はフル稼働の状況でした。
昨年消費税が上がったことで、全国の市町村が給食費を増額したことが原因と思われます。
そこに突然の全国一斉休校、フルーツの原料仕入れは既に終わっており、冷凍製品のデザートは既に万単位で製造を終わり冷凍庫に保管、出荷を待つだけになっていました。
■いち早い決定
週が明けた3月2日フルーツライフは年度末の出荷の全てを停止することに決定しました。
全国のどこの市町村も突然の休校要請に何ら情報を持っていない状況では、仮に週明けから製造したとしてもチルド製品は廃棄になる可能性が分かっていたからです。
一方冷凍製品のデザートはコロナ禍が収束した後に使用できる可能性もあり当面保管することに決定しました。
こうしたFLのいち早い決定は、工場にも取引先にも徒な混乱を生じさせることなく、唐突な全国一斉休校に対して冷静に対応することができました。
■給与保障
工場の仕入・出荷・生産の調整の後問題になってくることは稼働できないことによる給与の問題です。
FLでは学校給食の割合が全体の約50%、残りの50%を病院とデザート事業が受け持っています。当面仕事をシェアしながら乗り越えるとともに、労務担当が休業補償の手続きを始めています。
■100年ごとにやってくるパンデミック
今回の新型コロナウイルスによる全国学校一斉休校は、政府の政策の唐突さを別にすれば謂わば災害です。いつまで続くか分からない新たな感染症との闘いです。
地球上の生き物には必ず天敵が存在します。天敵があることで一つの種の爆発的増加を防ぎ生物多様性を維持してきたのです。
今から百年ほど前全世界にスペイン風邪が大流行しました。当時の世界の人口は最大で20憶人、感染者数は5億人余り、死者は約1億人と言われています。日本でも当時の人口が5,500万人、うち39万人がスペイン風邪で亡くなりました。
これまで人類はペスト、コレラ、天然痘など百年ごとにやってくるパンデミック感染症に脅かされながら生活してきたのです。
◆リスクマネジメント
■問われる経営力
こうした突然の自然界の脅威は、誰に対しても、どこの国に対してもお構いなく襲ってきます。そこで試されることがリーダーの判断です。国民を預かる政治家には特に冷静な判断が要求されますが、企業にあってもこうした時こそ経営力が問われます。
■三つの事業バランスの成果
FLは3年前、8割に及んでいた学校給食事業の割合を50%にする中期計画を発表しました。
昨年には病院事業とデザート事業を伸ばすことで3分野の売上比率の均衡が取れるようになりました。
・給食事業 44%
・病院事業 28%
・デザート 28%
今回の突然のコロナ禍による全国休校も中期計画の達成が会社の危機的状況を救ったと言えます。
■コロナ禍と円高リスク
新型コロナウイルスの全世界への広がりから為替が大きく円高に振れています。
FLでは年間の輸入量が大幅に増え、昨年は20コンテナの輸入を行い、原料をタイとコスタリカから輸入しました。そのため為替が円高に振れば収支はプラスになっていきます。
また急激な為替リスクをヘッジするために輸入総額の半分の運用をクーポンスワップで行うことで為替リスクに備えています。
■気候変動によるリスク
2月中旬タイに1週間ほど行ってきました。協力工場はバンコクから車で5時間余り、タイ南部のホアヒンにあります。
SRY社はタイの中でも有数の食品企業で、FLは主力商品であるパインスライスの製造を委託しています。
今回工場に行ってみると通常はパイナップルがトラックに山積みにされ工場に搬入されているのですが、どこにもトラックが見当たりませんでした。昨年からタイでは深刻なパイナップル不足が続いているのです。
FLでは年間使用量のパイナップルについてSRY社CEOと協議を重ね、パインの大きさに拘らずグラム基準を重視して不足量を満たす協議をしました。
FLはコロナ禍、気候変動、直面する様々な問題を一つひとつ解決し経営力で前進していく決意です。
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フルーツライフ株式会社
center@fruitslife.com
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