月刊フルーツライフ No.145 |
アレルギー28品目不使用、しかもヴィーガン、そしてフェアトレード
あんしんがとうはアレルギー 品目不使用の「究極のアレルギー対応ケーキ」を開発しました。
FAO/WHO食品規格委員会(コーデックス委員会)は1999年国際的取り決めとしての食物アレルギー表示を決定しました。
現在日本の食物アレルギー表示は食品表示法に基く「乳・卵・小麦・そば・えび・かに・くるみ・落花生」の特定8品目です。
これに加え「アーモンド・ごま・カシューナッツ・マカダミアンナッツ・オレンジ・キウイ・もも・りんご・バナナ・牛肉・鶏肉・豚肉・ゼラチン・さけ・さば・あわび・いか・いくら・大豆・やまいも」の 28品目がコーデックス委員会が決定したアレルギー表示対象品目です。
幼児期に多い大豆アレルギー
食物アレルギーのアレルゲンは乳・卵・小麦がおよそ7割を占めています。
アレルギー対応デザートの開発時、ケーキに欠かせない乳原料には、大豆を代替原料として使用します。
しかし幼児期には大豆によるアレルギー症状を発症する子どもが多く、そのため大豆は5大アレルゲンの一つとされています。
しっとりとした食感、まるでブラウニー
あんしんがとうはアレルギー 品目を使用することなく美味しいケーキを開発しました。
ほんのりカカオの香りがするパウンドケーキ、ブラウニーのようなしっかりとした食感。
ひと口食べると、これがアレルギー 品目を使用していないとは俄かには信じ難い美味しさです。
この夏各地で開催された展示会で試食してもらった時には、誰もが
「いったい何でできているの?」という驚きの声が何度も上がっていました。
開発担当者の生声を聞く
開発したのはデザートの鈴木リーダーです。
学校卒業後JR系トップホテルで長年経験を積み、子育てが落ち着いた後FLの仲間となりました。今ではFLのデザート開発・製造の中心を担っています。
鈴木リーダーはこう話しています。
「原料の米粉は、豆乳を使用できないため、冷えるとどうしても固くなりました。同じようにコーンスターチも固まってしまいます。
何度も焼成時間を試し、生地を膨らませふかふかの生地にしたかったのですが、BPを使用すると焼き縮みが起こってしまいました。
ここからが試行錯誤の連続でした。長い時間をかけて辿りついたところは、食用精製加工油脂を水とよく乳化させることで、ようやくしっとりとした生地の食感を得ることができました。
今回の開発は、アレルギー対応デザートの中心原料の豆乳が使用できないことをどう解決するのかということにかかっていました。」
あんしんがとうはアレルギー対応/ヴィーガンデザートのトップブランドとなりました。全国300 店舗以上のイオンで販売する唯一のアレルギー対応デザートメーカーです。
あんしんがとうがこうしたプレゼンスを確立するまでには、鈴木リーダーをはじめとする現場の一人ひとりの努力の積み重ねと、それに加えた営業部門の弛まぬ努力が必要でした。
人権とフェアトレード、そしてインクルーシブ
あんしんがとうのデザートは、アレルギー及びヴィーガン対応のため使用原料には細心の注意を払っています。
また学校給食デザートのトップブランド(昨年学校クリスマス60 万食実績)として、フェアトレード原料の使用を進めています。
デザートは西アフリカ産のカカオを使用することが多く、常に児童労働が国際的な問題となっています。
世界のカカオ生産の7割を占める西アフリカ諸国のカカオ農家は殆どが小規模家族経営であり、子どもたちは重要な働き手とされています。コートジボワールとガーナだけで156万人の子どもがカカオ農園で働いています。
ILOの発表によると、農園で働く1/3 の子どもは一度も学校に行ったことがありません。
フェアトレード原料は一般の原料に比べ価格が高くなりがちですが、FLは今後もフェアトレード原料の使用を増やしていきます。何故ならフェアトレード原料を使用することは人権にかかる問題であり優れて児童福祉の問題だからです。
FLはマイノリティーに置かれた人々を同じ社会に生きる人々として包摂していくインクルージョンな社会を目指しています。同じようにアレルギー対応デザートは誰もが隔てなく同じものを食べることができるインクルーシブな食品です。
私たちは甘くて美味しいデザートを食べて幸せなひと時を過ごすことができます。だからこそデザートはギルティフリーでよりエシカルなものでなければなりません。
人と同じ生き物としてのアニマルウェルフェア
ギルティフリー(罪悪感のない)でエシカル(倫理的)な食品とは何なのでしょう?
フードサプライチェーンには食料として「利用」する家畜のアニマルウェルフェア(動物福祉)の配慮が求められるようになってきました。
昨年7月農水省は「アニマルウェルフェアに関する飼養管理指針」を公表しました。これはOIE(国際獣疫事務局)の勧告に沿ったものです。
米欧豪では既に進められてるアニマルウェルフェアは日本では殆ど進められていません。唯一ニッポンハムが企業憲章にアニマルウェルフェアを掲げています。
例えば鶏は身動きのとれないバタリーケージの中で卵を産み続けるだけの一生を終えます。同じように母豚は身動きの取れない妊娠ストールの中に閉じ込められ子豚を産むだけの生涯を終えます。
OIEはこうした家畜を快適な環境下で飼育し、ストレスや疫病を減らすことを求めています。しかし日本では食肉メーカーもさる事ながら消費者自身がエシカル消費よりも価格の安さを求めているのが現状です。
フルーツライフが見据える食の未来
FLは環境と人権を商品化してきました。
有機フルーツを提案し確実に販売量を増やしています、学校給食とイオンのデザートは殆どがヴィーガンです。
食品に関わる企業は、環境と動物福祉そして廃プラスチックの課題から逃れることはできません。如何に早く進めるのか経営者のリーダーシップにかかっています。